異例な経済状況:金融引き締めが効かない!?
FEDの金融引き締めに対して
経済は
明らかに通常どおりの
反応を示していない。
強すぎる。
中央政府と中央銀行の罪:レイダリオの分析
政府主導の
富の移動
が起こった。
公的セクター(中央政府と中央銀行)、
そして政府債権所有者から
民間セクター(家計とビジネス)へ。
→ これが民間セクターが
金融引き締めに
鈍くなった理由
その結果、
家計及び所得収支が向上し、
政府収支が悪化した。
富の移動は世界的にも起こった:赤字財政拡大の末路
アメリカも世界的にも
中央政府は
赤字を拡大させて
バランスシートと収支を悪化をさせた。
つまり、
中央政府はさらなる債務を負い、
中央銀行は紙幣を増発させ、
民間を潤すために
多大な債務を負うことになった。
これは2020年及び2021年に起こった。
(米国赤字予算が
GDPの10~14%、
中央銀行の債券保有率が
GDPの18%から35%に)
→ 金利がマイナス圏になり、
資金を増やすには
中央銀行以下の金利で
お金を借りることに。
→現金はごみに。
(借りることが正しく、
所有することは悪)。
政府が需要の少ないローンで
人々やビジネスにお金をふりまいたため、
彼らは好ましい金利を示している
『安全な』政府の
国債を買いあさった。
2022年の大変化:インフレ、金融引き締め…
コロナ後のインフレ下の緩やかな財政政策
2022年になると
インフレが高まる中、失業率は低く、
驚くほど
緩やかな財政政策
が行われた。
(米国予算の赤字は
12%
という巨大な値から
5~6%
に下がった。
それでもまだまだ大きな値だが。)
いよいよ金融引き締めへ:拡大をつづける債務
中央銀行は
緩やかな金融政策から
引き締め
に転じた。
(ー1.5%の債券金利を
+1.5%に転換し、
バランスシートを引き締めた)
この引き締めは
債権と株を引き下げ、
資本市場と経済のうちのいくつかを
悪化させた。
(ベンチャーキャピタルや
未公開株、商業施設の不動産)
民間セクターの純資産は高まり、
失業率は低レベルへと低下した。
報酬は大幅に上昇し、
民間セクターは
中央政府がより多くの債務を抱え、
中央銀行と
それ以外の政府債所有者が
多額の資金を失った。
政府収支悪化の一方で、実体経済の向上:善??悪??
中央政府と中央銀行が
これほどの
ひどいバランスシートと損益計算書
を抱え、
実体経済がおどろくほど
良い状態であることに
問題はあるのだろうか??
もちろんある!
債務を借りた者は
痛みをともないながら、
最終的に元本を払い戻さなくてはならない。
民間と政府の
債務における唯一の相違点は
政府は税を徴収したり、
中央銀行に
紙幣を刷らせることができることだ。
→ そしてこれが、これから起こる。
これが
大きな問題になるのだろうか??
その答えは
おそらく短期間では問題ないが、
後日問題となるだろう。
同様の事態は人生の中で経験することはないが、
歴史を見れば多く起こっている。
(Principles for
Navigation Big Debt Crises参照)
レイ=ダリオ氏の提唱する債務サイクル:MP3とは??
債務サイクルを分類する
長期の債務サイクルの中で
米国政府が
今取り組んでいるアプローチを
私はMP3と呼んでいる。
MP1:中央銀行のバランスシートを
変えることなく、
金利を変える金融政策
(紙幣を発行することなく、
金融資産を購入する段階)
MP2:中央銀行が紙幣を増発し、
金融資産も買い上げる
(債務借り入れ需要が
減少した状態で
もはや金利を下げることができず、
それでも景気を刺激したい局面)
MP3:金融資産の購入が
その所有者を潤す一方で、
資金を必要とする人々の手元には
お金やクレジットが届かない状態
→ 政府のみが
お金を送る権利を有する
レイ・ダリオが評価しきっていないこと:民間部門の強さ
現在の民間セクターの
財務状況改善が
中央銀行の金融引き締めを
どのくらい和らげるか??
歴史が教えてくれること:
中央政府は
赤字債務を拡大
することで経済成長を促進し、
それがスパイラルとなって
さらに巨大な債務を発行して
バランスシートを毀損する。
債権供給が
需要を上回ると
金利が上がり、
中央銀行はそれを抑制するために
さらに債権を発行することになる。
しかしどちらのケースでも
金融政策の副作用として
直接的に
中央銀行の損失と純資産の減少を招く。
→世界の多くの中央銀行が
同様の事態に悩んでいる。
アメリカの現状:債権の終わりの始まり(債権危機へ)
家計、民間の経済指数は強い一方で…
アメリカの現状を見てみると、
① 収入はCOVIDで激減したものの、
政府補助金で回復している
② 貯蓄率は減少しているように見えるが、
分母を総収入とするため
必ずしも減少しているものではない
家計の富の中で
「借金は変化しておらず」
家計の富は
歴史上
かなり「高い」値を示している。
失業率は
COVIDで急増したものの、
その後1960年代レベルまで急落した。
その際労働賃金は急増している。
前述の家計の富同様に
バランスシート及び
損益計算書も強含んでいる。
政府財政状況の悪化と、レイの注目点:累積債権数
政府の赤字は
以前大きく、さらに悪化傾向にある。
私は
Fedの累積債権数
を注視しており、
次の機会の
この数値の顕著な増加は
最後の、そしておそらく最大の
債務負担及びその価値の
長期的な減少に転じる
契機になりうると思っている。
名目金利及び実質金利は
2020~2021年に最低に達したものの、
それ以降は通常のレベルへと回帰している。
商業銀行及びFedは
莫大は政府債を買い込んでいる。
参照
https://www.linkedin.com/pulse/whats-happening-economy-great-wealth-transfer-ray-dalio